親の住む市区町村の緊急通報装置の貸し出し|対象者と自己負担の調べ方
この記事のまとめ
- 緊急通報装置の貸し出しは市区町村ごとの事業で、対象者・自己負担・協力員の条件は市によって違う。
- 確かめた4市では、静岡市は設置費と月額が無料、習志野市は課税世帯3,300円・非課税世帯500円、長野市は固定電話回線型300円・携帯電話回線型600円、瀬戸内市は月額550円だった(各市の公式ページ、2026-11-07確認)。
- 確かめた市の多くが緊急時に連絡を受ける人や駆けつける人の登録を求めていて、倉敷市は約10〜15分以内に駆けつけられる2〜3名を条件としている。
- 静岡市・瀬戸内市・倉敷市は固定電話に取り付ける装置で、習志野市・長野市・那珂川市は固定型と携帯型の2種類がある。
- 調べる順番は、市区町村名と「緊急通報」で公式ページを探し、対象者、自己負担、協力員、固定電話の要否、申込先の5点を確かめる。
親の住む市区町村が緊急通報装置を貸し出しているかどうかと、その条件は、市区町村の公式ページで調べます。対象者、自己負担、協力員の要否は市ごとに違い、全国で同じ条件ではありません。この記事で公式ページを開いて確かめた4市だけでも、月額は無料から3,300円まで幅がありました。
調べる項目は5つです。対象者の条件、自己負担、協力員(緊急時に連絡を受ける人や駆けつける人)、固定電話の要否、申込先です。この記事では4市の内容を表にし、各市のページで見る場所と、調べたあとの動き方をまとめます。金額と条件は2026-11-07に確かめた内容で、年度が替わると変わることがあります。
緊急通報装置の貸し出しは、市区町村ごとの事業
厚生労働省の通知「地域支援事業の実施について」の掲載ページには、過去に国庫補助金等から一般財源化された事業の一つとして、緊急通報体制等整備事業が挙げられています。同じページに、これらの事業は地域支援事業として実施できないことに留意する、と書かれています。確かめたのは3ページ中の1ページ目で、ページ自体に改正の時点は書かれていませんでした。
このページから分かるのは、緊急通報体制等整備事業が国の地域支援事業の枠から外れた事業として扱われていることです。実際に確かめた市の例でも、市がそれぞれ独自に対象者や自己負担を決めていました。親の住む市区町村が実施しているか、どんな条件かは、国の資料では分からず、その市区町村の公式ページで調べるしかありません。
名称も市ごとに違います。確かめたページでは「緊急通報システム」(静岡市)、「緊急通報装置」(習志野市・長野市・倉敷市)、「高齢者見守り体制整備(緊急通報装置の貸与)事業」(瀬戸内市)と、呼び方がばらばらでした。市区町村名と「緊急通報」で探し、見つからなければ「高齢者 見守り」「ひとり暮らし高齢者 福祉サービス」でも探します。
4市の公式ページで確かめた対象者・自己負担・申込先
4市の公式ページで確かめた内容を表にします。ページに書かれていない項目は「記載なし」としています。
| 市 | 対象者 | 自己負担 | 協力員・緊急連絡先 | 申込先 |
|---|---|---|---|---|
| 静岡市 | 65歳以上で一人暮らし(高齢者の二人暮らしで一人が寝たきりなどの場合も対象)。生活保護世帯、またはすべての世帯員が市民税非課税の世帯。固定電話を使っている方 | 設置費・撤去費・月額利用料は無料。移転、故障、破損、修理等の費用は自己負担。通話料は毎日の機能確認の通話で1日10円程度 | 緊急連絡先2件(できるだけ親族2人)。山間地は近隣の協力員2人を別に登録 | 各区の高齢介護課、蒲原出張所の窓口、または電子申請 |
| 習志野市 | おおむね65歳以上で緊急時の対応に不安がある在宅の高齢者。連絡の取れる電話番号があること。口座自動振替で支払えること | 市民税課税世帯は月額3,300円、非課税世帯は月額500円、生活保護受給世帯は無料(いずれも税込)。設置費は記載なし | 緊急通報先として親族等の連絡先を1か所以上登録 | 高齢者支援課(市庁舎1階) |
| 長野市 | 65歳以上で一人暮らし、75歳以上の高齢者のみの世帯、65歳以上の高齢者と重度身体障害者のみの世帯。同一敷地内に親族がいる場合は原則対象外 | 月額は固定電話回線型300円、携帯電話回線型600円。4か月ごとに口座振替。通報時の通話料は利用者負担。設置費は記載なし | 駆けつけて状況を確認する協力者の届出が必要(人数は記載なし) | 地域包括ケア推進課・支所 |
| 瀬戸内市 | 65歳以上で病弱な高齢者のみの世帯に属する方。それ以外の世帯でも市長が必要と認めた方 | 月額550円。2か月分1,100円が口座から引き落とし。設置費は記載なし | 協力員2名以上。親戚でも他人でもよく、近所で駆けつけられる方が望ましい | 健康長寿課 高齢者支援係、各支所・出張所 |
出典:各市の公式ページ(いずれも2026-11-07確認。ページの更新日は静岡市2026年7月24日、習志野市2026年5月29日、長野市2025年12月12日、瀬戸内市2026年4月1日)。
同じ「緊急通報装置」でも、対象が「一人暮らし」中心の市と「高齢者のみの世帯」まで含める市があります。親が夫婦二人暮らしや、子と同居している場合は、対象に入るかどうかが市によって変わります。
自己負担は「無料」「世帯区分で変わる」「一律」の3通り
自己負担の決め方は、確かめた市で大きく3通りに分かれました。
- 静岡市は、対象を生活保護世帯か全員が市民税非課税の世帯に絞り、そのかわり設置費・撤去費・月額を無料にしています
- 習志野市は、市民税課税か非課税か、生活保護かで月額を変えています
- 長野市と瀬戸内市は、ページに月額が1つだけ書かれていて、世帯区分で変わるという記載はありません。長野市は機器の種類(固定電話回線型か携帯電話回線型か)で金額が分かれています
このほかに、那珂川市のように、生計中心者の前年の所得税の課税額で7区分に分ける市もあります。那珂川市のページ(更新日2024年12月13日)では、生活保護世帯と、生計中心者が前年所得非課税の世帯は固定型・携帯型とも0円で、生計中心者の前年所得課税額が140,001円以上の世帯は固定型1,850円、携帯型2,690円でした。倉敷市のページには、所得税額によっては一部負担が生じる場合がある、とだけ書かれていて、金額は確かめられませんでした。
金額以外にも、確かめておく費用があります。
- 通話料:静岡市は機能確認の通話で1日10円程度、長野市は通報時の通話料が利用者負担と書いています
- 故障や移転の費用:静岡市は自己負担と書いています
- 支払い方法:習志野市は口座自動振替が条件で、3か月分の前払いです。長野市は4か月ごと、瀬戸内市は2か月分ずつの口座引き落としです
離れて暮らす親の場合、口座振替の手続きを誰が行うかも事前に決めておく必要があります。
協力員と固定電話が、申込みの前にいちばん引っかかる
条件のなかで、離れて暮らす子が実際に困るのは、協力員と固定電話です。
協力員は、緊急時に連絡を受けたり、家へ駆けつけたりする人です。確かめた市の書き方は、次のように違いました。
| 市 | 協力員・緊急連絡先の書き方 |
|---|---|
| 静岡市 | 緊急連絡先2件(できるだけ親族2人)。山間地は近隣の協力員2人を別に登録。市街地は警備員が出動し、解錠のため委託事業者に自宅の鍵を預ける |
| 習志野市 | 親族等の連絡先を1か所以上 |
| 倉敷市 | 協力員が必要。2〜3名を登録し、緊急時に約10〜15分以内に駆けつけられる人 |
| 瀬戸内市 | 協力員2名以上。近所で駆けつけられる方が望ましい |
遠方に住んでいると、駆けつけられる人を自分では用意できません。確かめた範囲では、静岡市の市街地は警備員が出動する仕組みで、親族が駆けつけることは条件に書かれていません。一方、倉敷市のように、近くに住む人を条件にしている市もあります。長野市は、設置申出書に民生委員の確認(署名)が要ると書いています。近所の親しい人や親族に頼めるか、民生委員がどう関わるかは、市の窓口に聞くことになります。この記事では、協力員を市が紹介してくれるかどうかは確かめられなかったので書いていません。
固定電話の扱いも違います。静岡市は固定電話を使っている方が対象の条件で、アナログ回線とひかり電話のどちらも可と書いています。瀬戸内市は固定電話が必要で、NTTのアナログ回線が望ましいが、それ以外の固定電話でも設置できるとしています。倉敷市は、装置を固定電話(アナログ回線)に取り付けると書き、固定電話がない人は問い合わせ先に相談するよう案内しています。習志野市は、固定電話回線を使う固定型と、固定電話回線がなくても使える携帯型があり、どちらも自宅でのみ使えると説明しています。長野市も固定電話回線型と携帯電話回線型を用意していて、固定電話を持っている人は原則として固定電話回線型を使うとしています。那珂川市も固定型と携帯型の2種類で、月額は携帯型のほうが高く設定されています。
親が固定電話を解約している場合は、携帯型のある市かどうかが分かれ目になります。
親の住む市区町村で調べる順番
- 市区町村名と「緊急通報」で検索し、市区町村の公式サイトのページを探します。民間の比較サイトや見守り業者のページは、市の条件と混ざりやすいため根拠にしません
- ページで、対象者の条件を確かめます。親の世帯(一人暮らしか、夫婦か、同居の家族がいるか)が当てはまるかを見ます
- 自己負担を確かめます。月額、設置費、通話料、故障時の費用、支払い方法の5つを見ます
- 協力員や緊急連絡先の人数と、駆けつけられる距離の条件を確かめます
- 固定電話が要るか、携帯型があるかを確かめます
- 申込先を確かめます。課名は市ごとに違い、確かめた市では高齢介護課、高齢者支援課、健康長寿課、地域包括ケア推進課などでした
- ページに書かれていない点は、申込先の課に電話で聞きます。設置費や、協力員が見つからないときの扱いは、ページに書かれていない市が多くありました
静岡市のように、窓口に加えて電子申請を用意している市もあります。静岡市のページでは、窓口に持っていくものは対象者の本人確認書類(コピーは不可)とされています。離れて暮らす子が代わりに申し込めるかどうかは、確かめたページには書かれていなかったため、窓口に聞いておきます。
緊急通報装置だけで足りるかを考える
市の緊急通報装置は、緊急時の連絡の仕組みです。確かめた市の説明は、緊急時に受信センターやコールセンター、警備員、協力員、緊急連絡先、消防などへつなぐ内容です。長野市と那珂川市は安否確認用の人感センサーも貸し出していて、那珂川市は一定時間以上動きがないと自動で通報すると書いています。ただ、毎日の暮らしぶりを子に知らせる仕組みについては、確かめたページに書かれていませんでした。毎日の様子の目安がほしい場合は、民間の見守りも検討対象になります。
映像を使わない民間の方法を比べたいときは、親が見守りカメラを嫌がるときの代わりで、ポットと電球の2つを料金つきで整理しています。市の事業とは別に、親の同意を得てから始める点は、どちらでも同じです。
次にすること
- 親の住民票のある市区町村名と「緊急通報」で、公式ページを探す
- 対象者、自己負担、協力員、固定電話の要否、申込先の5点を、この記事の表のようにメモする
- 親が固定電話を使っているか、近くに頼める人がいるかを、電話や帰省のときに確かめる
- ページに書かれていない点は、申込先の課に問い合わせる
- 年度が替わると条件や金額が変わることがあるため、申込みの前にもう一度ページの更新日を見る
出典(確かめた日)
- 厚生労働省 地域支援事業の実施について(老発第0609001号)掲載ページ(2026年11月7日)
- 静岡市 ひとり暮らし高齢者等緊急通報システムの貸し出し(2026年11月7日)
- 習志野市 高齢者の緊急通報装置を貸与します(2026年11月7日)
- 長野市 緊急通報装置(2026年11月7日)
- 瀬戸内市 高齢者見守り体制整備(緊急通報装置の貸与)事業(2026年11月7日)
- 倉敷市 緊急通報装置の設置(2026年11月7日)
- 那珂川市 緊急通報装置(ひとり暮らし高齢者向け緊急通報サービス)貸与事業(2026年11月7日)