地域包括支援センターに離れて暮らす親の見守りを相談するとき|探し方と伝えること
この記事のまとめ
- 地域包括支援センターは、介護保険法に基づいて市町村が設置できる施設(市町村の委託を受けた者も届け出て設置できる)で、総合相談支援や権利擁護などの事業を行う。
- 確かめた5市では、担当のセンターが住まいの地域で分かれていた。福岡市・名古屋市は小学校区、広島市は中学校区、静岡市は日常生活圏域で分かれ、京都市の一覧は担当区域を学区で示している。
- 福岡市・京都市・静岡市・広島市は、高齢者本人のほか家族からの相談を受ける旨を公式ページに書いている。相談が無料と書いていたのは福岡市・京都市・名古屋市。
- ふだんの相談を電話で受けると書いていたのは福岡市と広島市。ただし、遠方の家族が電話で相談できるかを明記した市は、確かめた範囲になかった。
- 電話の前に、親の住所と生活の様子、気になっている点、家族の連絡先、親に相談することを伝えたかを整理しておく。
離れて暮らす親の見守りで迷ったときは、親が暮らす市区町村の地域包括支援センターが、相談先の一つになります。厚生労働省の資料によると、このセンターは市町村が設置主体で、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などを置き、高齢者や家族介護者の相談に初期段階から継続的に応じて、さまざまなサービスにつなぐ役割を持っています。探し方は、親の住所を基準に、市区町村の公式ページの一覧で担当のセンターを調べる方法です。
ただし、公式ページで確かめられたことと、確かめられなかったことがあります。確かめられたのは、家族からの相談を受ける旨や、相談が無料である旨を書いた市があることです。確かめられなかったのは、遠方に住む子が電話で相談できると明記した市です。電話での相談を書いた市はありましたが、遠方の家族を名指しした記述はありませんでした。この記事では、探し方、電話の前に整理しておくこと、相談したあとの動き方を、2026-11-07に確かめた内容でまとめます。医療や介護の個別の判断は、この記事ではしません。
地域包括支援センターは何をする場所か
介護保険法の第115条の46は、地域包括支援センターを、包括的支援事業などを実施し、地域住民の心身の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行うことで、保健医療の向上と福祉の増進を包括的に支援する施設と定めています。設置については、市町村が設置できるとしたうえで(第2項)、市町村から委託を受けた者が、あらかじめ市町村長に届け出て設置することもできると書いています(第3項)。
包括的支援事業の中身は、同法の第115条の45第2項に出てきます。このうち、離れて暮らす親の見守りの相談に近いのは次の2つです。
- 総合的な支援を行う事業:被保険者の心身の状況や居宅での生活の実態などの実情の把握、保健医療や福祉などの関連施策についての総合的な情報の提供、関係機関との連絡調整などを行う(第1号)
- 権利擁護の事業:虐待の防止と早期発見、その他の権利擁護のために必要な援助を行う(第2号)
厚生労働省の資料では、前者は「総合相談支援事業」として、地域の高齢者や家族介護者に初期段階から継続的・専門的に相談支援を行い、地域のさまざまなサービスにつなげる、と説明されています。後者は「権利擁護事業」として、成年後見制度の活用促進や高齢者虐待への対応などを行う、と書かれています。
同じ資料には、全国のセンターが5,487か所(令和7年4月末現在)と書かれていて、すべての市町村に設置されています。運営形態は市町村の直営が19%、委託が81%です(個別の担当圏域を持つ5,362か所で集計した割合)。次に見るとおり、確かめた5市でも窓口の呼び方はそれぞれ違いました。
市によって名前が違う
確かめた5市のページでは、同じ「地域包括支援センター」が次の名前で案内されていました。
| 市 | 窓口の名前(ページでの呼び方) |
|---|---|
| 福岡市 | いきいきセンターふくおか |
| 京都市 | 高齢サポート |
| 名古屋市 | いきいき支援センター |
| 静岡市 | まるけあ |
| 広島市 | 地域包括支援センター |
「地域包括支援センター」で検索して見つからないときは、市区町村名に「高齢者 相談窓口」や、上の表のような愛称を加えて探します。確かめた福岡市・京都市・名古屋市のページは、題に括弧書きで「地域包括支援センター」と添えていました。静岡市は「静岡市地域包括支援センター(まるけあ)」と、愛称を括弧に入れています。この記事では、市区町村の公式サイトのページで確かめています。
担当するセンターは、住まいの地域ごとに分かれている
確かめた5市では、担当するセンターが市の中の地域ごとに分かれていました。公式ページの書き方は次のとおりです。
| 市 | 担当の分かれ方(ページの記載) | 数 |
|---|---|---|
| 福岡市 | お住まいの地域の小学校区により担当が分かれている。小学校区が分からないときは、住所から担当センターを調べられるページや資料を使える | 57センター |
| 京都市 | 一覧表に、各センターの所在地と担当区域(学区)が載っている | 61か所 |
| 名古屋市 | 一覧に各センターの担当小学校区が示されている | 記載なし |
| 静岡市 | 市内に30の日常生活圏域(葵区13、駿河区7、清水区10)を設定し、各圏域にセンターを設置。町名の一覧表とセンターの一覧がPDFである | 記載なし(30圏域に設置) |
| 広島市 | お住まいの中学校区により担当のセンターが決まっている | 41か所 |
出典は各市の公式ページです。更新日は、福岡市が2026年10月17日、京都市が2026年4月1日、名古屋市が2025年11月26日、広島市が2026年6月9日、静岡市が2026年10月7日でした。静岡市のページには、2026年4月1日から3圏域で運営する法人が変わったと書かれています。運営する法人や所在地が変わることがあるため、電話をかける前に、一覧の更新日を見ます。
どの住所で調べるかについて、確かめた市のページに遠方の家族向けの書き分けはありませんでした。ページは「お住まいの地域」と書いています。親のことを相談するなら、親が暮らしている場所の小学校区や中学校区、町名で一覧を見て、迷ったときは親の市区町村の高齢者の窓口に、親の住所で担当を確かめます。
家族からの相談、無料、電話について
離れて暮らす子にとって気になる3点を、公式ページで確かめた範囲で並べます。
| 項目 | 福岡市 | 京都市 | 名古屋市 | 広島市 |
|---|---|---|---|---|
| 家族からの相談 | 対象は「高齢者及びその家族並びに介護、保健、福祉、医療等の関係者」 | 「高齢者やその家族、近隣に暮らす方」の相談を受け、「どなたでもご利用になれます」と書く | 記載なし | 「高齢者の皆さんやその家族、地域の方など」から相談を受ける |
| 費用 | 無料 | 無料 | 「相談は無料です」 | 記載なし |
| 受付時間 | 月曜から土曜の9時〜17時(祝日・年末年始を除く)。土曜は電話またはセンターで対応 | 平日9時〜17時。緊急時の相談のみ24時間電話対応 | 平日(月曜から金曜)9時〜17時(祝日・年末年始を除く) | 原則として月曜から金曜の8時30分〜17時15分(年末年始・祝日を除く)。緊急時の電話相談は24時間 |
| 相談の方法 | 電話とセンターの窓口。内容に応じて自宅への訪問もする | 各センターの電話番号を掲載。来所の記載はなし | 電話番号・住所を掲載。相談方法としての記載はなし | 電話、センター窓口、家庭訪問等 |
静岡市のページにも、「高齢者のみなさんやそのご家族、近隣に暮らす方の介護や介護予防に関する悩み」に対応する、という記載があります。ただし、費用は書かれていませんでした。
この表から言えるのは、家族が相談先になる旨を書く市が複数あることと、電話での相談を書いた市があることです。言えないのは、遠方の家族からの電話に応じる旨を書いた市があるかどうかです。確かめた範囲では、そうした記載はありませんでした。遠方の家族への対応は、ページに書かれていないため、この記事では判断しません。電話で聞いて確かめます。
名古屋市のページは、家族からの相談を受けるかどうかを書いていません(業務内容には「認知症高齢者を介護する家族への支援事業」が挙がっています)。費用は「相談は無料です」と書かれています。費用が書かれていない市でも、有料だと分かったわけではありません。ページに書かれていない点は、電話の最初に聞けば済みます。
電話の前に整理しておくこと
地域包括支援センターは、介護保険法の条文上、正当な理由なく業務で知り得た秘密を漏らしてはならないとされています(第115条の46第8項)。とはいえ、遠方の子が親の個人情報を伝えるときは、親への説明が先です。センターが親に連絡を取るかどうか、子の相談内容を親に伝えるかどうかは、確かめたページには書かれていません。相談の前に、親に「相談してみようと思う」と一言伝えておくと、あとの話が進めやすくなります。親が嫌がる場合の進め方は、窓口で相談の仕方を聞きます。
電話で伝える内容として、次の5つを手元にまとめておくと話を進めやすくなります。実際にどの項目が必要かは公式ページに書かれていないため、窓口で聞かれたときに答えられるようにする目安です。
- 親の氏名、年齢、住所(担当のセンターを決めるため)
- 親の暮らしぶり。一人暮らしか、同居の家族がいるか。近所に頼める人がいるか
- 気になっている点。電話に出ない日が増えた、郵便物がたまっている、物忘れが増えた、など具体的な出来事
- すでに受けているサービス。要介護・要支援の認定を受けているか、介護サービスや市の見守り事業を使っているか
- 子の連絡先と、連絡がつきやすい時間帯。親本人に相談を伝えたかどうか
気になっている点は、判断を添えずに、見聞きした事実だけを伝えます。「認知症では」「危ない状態では」のように病気や状態を断定すると、聞く側の判断を先取りしてしまいます。医療や介護の必要性を判断するのは、センターの専門職や医師です。この記事も、個別の状態の判断はしません。
聞いておきたいことは、次の4つです。
- 子からの電話でも相談できるか
- 親の家に訪問してもらえるか。訪問する場合、親の了承が要るか
- 子に結果を連絡してもらえるか
- 市の見守りの事業や、緊急通報装置など、使える制度があるか
京都市のページには、一人暮らし高齢者の訪問事業があり、お住まいの地域を担当する高齢サポートが対応する、と書かれています。福岡市は相談内容に応じて自宅を訪問する旨を、広島市は通常の相談を電話・センター窓口・家庭訪問等で受ける旨を書いています。訪問の条件や頻度は、ページに書かれていません。
相談したあとにどう動くか
相談の結果は、ページに書かれていません。センターが何をするかは、個別の状況や市の事業によって変わるため、この記事では決めつけません。確かめられる範囲で、子の側の動き方を整理します。
- 担当者の名前と、折り返しの連絡先を控える
- 次に誰が何をするか(センターが親に連絡する、子が親に伝える、など)を確かめる
- 相談した日と内容を、家族のあいだで共有する。きょうだいがいるなら、親に連絡する窓口を一本にしておくと、親が何度も同じ説明をせずに済む
- 民間の見守りを検討する場合は、市の事業と重複しないかを窓口で聞く
市の事業としては、緊急通報装置の貸し出しがあります。対象者や自己負担は市ごとに違うため、親の住む市区町村の緊急通報装置の貸し出しで、市ごとの公式ページの内容を表にしています。市の事業を調べたあとに、センターで使える制度を聞く流れにすると、話が早くなります。
親が見守りカメラを嫌がる場合は、親が見守りカメラを嫌がるときの代わりで、ポットと電球の2つの方法を料金つきで整理しています。どちらの方法でも、始める前に親の同意が要ります。センターに相談するときも、親に伝えてからにします。
次にすること
- 親の住所(市区町村、町名)を確認する。小学校区や中学校区を調べる必要があるときは、市のページの一覧を使う
- 市区町村の公式サイトで、担当のセンターの名前と電話番号、受付時間を確かめる
- 親に「相談してみようと思う」と伝える
- 電話の前に、親の氏名・年齢・住所、気になっている出来事、受けているサービス、子の連絡先をメモにする
- 電話で、遠方の家族からの相談を受けてもらえるか、訪問や結果の連絡はどうなるかを聞く
- 担当者名と次の動きを控え、家族に共有する
- 受付時間や担当の法人は変わることがあるため、電話の前に、一覧の更新日を見る
出典(確かめた日)
- 厚生労働省 地域包括支援センターについて(資料)(2026年11月7日)
- 厚生労働省 地域包括支援センターの概要(掲載ページ)(2026年11月7日)
- e-Gov法令検索 介護保険法(第115条の45・第115条の46)(2026年11月7日)
- 福岡市 いきいきセンターふくおか(福岡市地域包括支援センター)(2026年11月7日)
- 京都市 高齢サポート(地域包括支援センター)について(2026年11月7日)
- 名古屋市 いきいき支援センター(地域包括支援センター)(2026年11月7日)
- 広島市 地域包括支援センター(2026年11月7日)
- 静岡市 静岡市地域包括支援センター(まるけあ)(2026年11月7日)