離れて暮らす親の電話詐欺対策|自治体の自動通話録音機の貸し出しと、家族でできること

この記事のまとめ

  • 自動通話録音機は、電話が鳴る前に相手へ警告を流し、通話を録音する機器で、警察庁は警察白書で、自動通話録音や警告音声の機能を持つ機器の設置を促すと書いている。
  • 貸与か補助か、対象年齢、台数、申込先は自治体ごとに違い、世田谷区・練馬区・堺市は無料の貸与、相模原市は購入費の3分の2(上限3,000円または7,000円)の補助だった(各市区の公式ページ、2026-11-07確認)。
  • 堺市は70歳以上で予兆電話がある人など3つの条件がすべて必要で、貸与は6年間、期間後は申出がなければ無償で譲渡される。
  • NTT東日本は、70歳以上の契約者または70歳以上の人と同居する契約者に、ナンバー・ディスプレイとナンバー・リクエストを無料にしている。適用には申し出が要る。
  • 令和7年(2025年)の特殊詐欺の認知件数は27,832件、被害額は約1,423.1億円で、前年から増えた(警察庁の確定値)。

離れて暮らす親の固定電話に詐欺の電話を届きにくくする方法の一つが、自動通話録音機です。電話が鳴る前に「通話は録音されます」といった警告を相手に流し、通話を録音する機器です。警察庁は警察白書で、こうした機能を持つ機器の設置を促すと書いています。自治体によっては無料で貸し出したり、購入費を補助したりしていて、世田谷区・練馬区・堺市は貸与、相模原市は補助でした。対象年齢や台数、申込先は市区ごとに違うため、親の住む市区町村の公式ページで確かめます。

家族の側でできることもあります。NTT東日本の番号表示サービスは、70歳以上の契約者などが無料です。ただし、相模原市のページも、こうした機器を設置しても被害を完全に防げるわけではないと書いています。この記事では、4市区の貸与・補助の条件、家族でできること、親への話し方を、2026-11-07に公式ページで確かめた内容でまとめます。金額と条件は年度で変わることがあります。

数字で見る電話詐欺の今

警察庁の確定値によると、令和7年(2025年)の特殊詐欺の認知件数は27,832件で、前年より6,789件(32.3%)増えました。被害額は約1,423.1億円で、前年より704.3億円(98.0%)増えています。この数字にはSNS型投資・ロマンス詐欺は含まれていません(同じ発表で別に集計されています)。

警察庁の警察白書(令和6年版)は、固定電話への対策として、次の取り組みを挙げています。

詐欺の電話を親が受けるかどうかを家族が止めることはできません。だからこそ、電話が鳴る前の警告や録音のように、親が一人で対応する場面を減らす仕組みが対策になります。

自動通話録音機とは何か、できないこと

警察庁の「防犯機能付き電話の導入」のページは、防犯機能付き電話の機能を次のように説明しています。

自治体が貸し出す「自動通話録音機」は、固定電話に取り付ける外付けの機器です。練馬区と世田谷区のページは、呼び出し音が鳴る前に発信者へ警告を流し、通話を録音する機器だと説明しています。世田谷区のページには、工事は不要で電源が必要と書かれています。

取り付けられない電話もあります。練馬区のページによると、電話線を取り外せない黒電話などは対象外です。ビジネスフォン、ナンバー・ディスプレイを使っている回線、インターホンなどは、電話機能や回線によって設置できない場合があります。緊急通報システムや東京ガスの「マイツーホー」などと併用できない機器もあります。親の電話の種類と契約を、申し込む前に確かめておきます。

貸与や補助の対象は、ここで確かめた範囲では固定電話に取り付ける機器と固定電話機です。携帯電話の対策は、この記事では扱っていません。

4市区の公式ページで確かめた貸与・補助の条件

親の住む市区町村が実施しているかどうかは、まず公式ページで調べます。ここでは、貸与を実施している3市区と、補助を実施している1市のページを開いて確かめました。

市区 形 対象 費用・補助 申込・受取
世田谷区(更新日2026年7月27日) 貸与 区在住のおおむね65歳以上の人が住む世帯 無料 本人確認資料を持って、区内28か所のまちづくりセンター、烏山総合支所、区役所東棟3階の地域生活安全課、管轄の警察署のいずれかで受け取る(警察署は事前に連絡)。来所が難しい人はゆうパックでの貸出があり、地域生活安全課かせたがやコール(03-5432-3333)に相談する
練馬区(更新日2025年10月3日) 貸与 区内に住む65歳以上の人がいる世帯。過去に東京都・区・警察署から貸与を受けた世帯は除く。1世帯1台まで 無料。電気代は設置した人の負担(年間数百円程度)。保証期間外の修理・交換費用も設置した人の負担 貸出場所は警察署(練馬・光が丘・石神井)、地域包括支援センター、消費生活センター。在庫は危機管理課安全安心係(03-5984-1027)で確かめる
堺市(更新日2026年6月4日) 貸与 堺市に住む70歳以上で、不審電話などの予兆電話がかかってきていて、一人暮らしか日中一人になる人、またはもの忘れのある人(3つともに当てはまる人) 無償 お住まいの区役所自治推進課の窓口のみ。郵送・FAX・メールは受け付けない。区ごとに台数に限りがあり、なくなり次第終了
相模原市(更新日2026年8月10日) 購入費の補助 市内に住み、機器の購入時に65歳以上で、自宅に設置して使う人。1世帯1台 購入費(税込)の3分の2(100円未満切り捨て)。上限は協力販売店で7,000円、市内のそれ以外の店(家電量販店を含む)で3,000円。市外の店とインターネットでの購入は対象外 申請書、請求書、本人確認書類の写し、領収書の原本を、交通・地域安全課へ持参または郵送。先着順で、予算がなくなると受けられない

出典:各市区の公式ページ(いずれも2026-11-07確認)。

相模原市の補助の対象機器は、迷惑電話防止機能のある固定電話機(ファクスを含む)と、固定電話に後付けして警告を流し通話を録音する機器の2種類です。手順は、機器の購入、自宅への設置、申請の順で、申請のあと市が自宅に電話をかけて警告のメッセージが流れるかを確かめ、申請から1〜2か月後に補助金が振り込まれます。交付から数か月後に届くアンケートへの回答も交付の要件です。対象の機器か分からない場合は、購入前に課へ相談するよう案内されています。

このほか、兵庫県は県全体の事業として、令和8年度の外付け録音装置を無償で配付しています。対象は、原則65歳以上の人がいる特殊詐欺被害リスクの高い世帯で、1世帯1台まで、過去に警察署の配付や市町の補助などを受けていないことが条件です。申請は電子申請・メール・FAX・郵送ででき、機器は後日送られてきて自分で取り付けます。受付は2027年1月29日必着ですが、予定の台数に達したら締め切られます。市町の事業とは別に、県が実施している例です。

貸与と補助の違い、離れて暮らす家族が気をつける点

貸与は機器を借りる形、補助は買った費用の一部が戻る形です。違いは次のとおりです。

離れて暮らす子にとって引っかかるのは、次の3点です。

1 親本人が窓口へ行けるか。 堺市は窓口のみで、郵送・FAX・メールを受け付けません。世田谷区は郵送での貸出を用意し、相模原市は郵送での申請ができます。代理人が申請する場合、相模原市は委任状と代理人の本人確認書類が要ります。堺市は、代理人が申請する場合も申込者本人の公的身分証明書(コピー可)が要るとしています。練馬区・世田谷区のページに、離れて暮らす家族が代わりに申し込めるかどうかの記載はありませんでした。窓口に電話で聞きます。

2 誰が取り付けるか。 練馬区は設置した本人が取り付けるとし、取り付けに不安がある場合はシルバー人材センターの有料サービスを使えると書いています。世田谷区は自分での取り付けが難しい場合、委託業者による取り付けを用意していて、取り付けまで約2週間かかると書いています。帰省のときに子が取り付けるなら、そのときに電話の種類も確かめられます。

3 機器を取り付けたあとの費用。 練馬区は電気代と保証期間外の修理費を設置した人の負担としています。録音を誰がいつ聞き返すかは、確かめたページに書かれていません。親と家族のどちらが、どの機会に聞き返すかを、家族で決めておきます。

なお、練馬区の貸出場所には地域包括支援センターが含まれます。センターの探し方や相談の仕方は、地域包括支援センターに離れて暮らす親の見守りを相談するときで整理しています。

家族でできること

機器の貸与・補助がない市区町村でも、家族ができることがあります。公式ページで確かめられたものを並べます。

NTTの無料サービスを申し込む

警視庁のページによると、NTT東日本のナンバー・ディスプレイ(相手の番号を表示する機能)とナンバー・リクエスト(非通知の電話に番号の通知をお願いする案内を流す機能)は、70歳以上または70歳以上の人と同居する契約者が対象で、無料です。適用には申し出が要り、すでに利用中の場合も申し出が必要とされています。ディスプレイのない黒電話でも、両方を申し込めば、非通知の電話に番号の通知を求める案内を流せると書かれています。申込・問い合わせ先は、NTT東日本の特殊詐欺対策ダイヤル(0120-722-455、午前9時から午後5時、土日と12月29日から1月3日を除く)です。

警察白書はNTT東日本・西日本の両方の取り組みとして書いていますが、西日本の窓口はこの記事では確かめていません。親の住所が西日本の地域なら、NTT西日本の案内を別に探します。

同じページには、詐欺被害を受けた場合や受けるおそれがある場合の、電話番号変更の工事費が無料になる案内もあります。適用には、その旨の申し出が要ります。

防犯機能付き電話に買い替える

警察庁は、自治体によって補助の制度があることもあわせて案内しています。親の住む自治体に貸与も補助もない場合は、機器を買う選択肢になります。非通知や未登録番号の拒否はナンバー・ディスプレイの契約が前提なので、NTTの無料サービスと一緒に考えるのが筋です。この記事では特定の製品は取り上げません。警察庁のページには、各メーカーの防犯機能付き電話を紹介する「優良防犯電話」の一覧へのリンクがあります。

詐欺の電話の型を伝えておく

国民生活センターは2024年12月19日に、総務省やNTT東日本・西日本を名乗り、「2時間後に電話が使えなくなる」などと自動音声で伝えて、オペレーターにつなぎ、住所・氏名・生年月日などを聞き出す電話について注意を呼びかけました。総務省やNTTが電話の停止を自動音声ガイダンスやSMSで連絡することはない、とも書いています。助言は次のとおりです。

不安に思ったり、個人情報を伝えてしまったりしたときの相談先は、消費者ホットライン「188」と警察相談専用電話「#9110」です。親の電話の近くに、この2つの番号を書いた紙を貼っておく方法もあります。

親に話すときの順番

機器を置く前に、親と話しておくことがあります。

  1. 電話が鳴る前に相手に警告が流れること、通話が録音されること(録音される側の気持ちを先に確かめる)
  2. 録音には親の通話が残ること。誰がいつ聞き返すかを、親の了承を得て決めておくこと
  3. 怪しい電話があったら、電話を切って家族に知らせてほしいこと

見守りの機器を置くとき、親の同意が要る点は、親が見守りカメラを嫌がるときの代わりでも書いたとおりです。電話の録音も、親の暮らしの一部が記録されるため、話さずに置くことはやめた方がよいでしょう。

市区町村の緊急通報装置の貸し出しは、詐欺対策とは別の事業です。緊急時に連絡する仕組みで、対象者や自己負担は市ごとに違います。比べ方は親の住む市区町村の緊急通報装置の貸し出しにまとめています。練馬区と兵庫県のページには緊急通報システムなどと併用できない機器があると書かれ、堺市のページは緊急通報装置を使っている人は使用できないとしているため、両方を使う可能性がある場合は、申し込む前に窓口で確かめます。

確かめられなかったこと

次の点は、確かめたページに書かれていなかったため、この記事では判断していません。

世田谷区のページには、申込可能な申請方法の欄がすべて「利用不可能」と表示されている一方、本文には窓口・ゆうパックでの貸し出しと電子申請が書かれていました。実際の受付は、区に電話で確かめます。

次にすること

出典(確かめた日)